慢性便秘の漢方治療

考え方について

 便秘は腸が便を下へ送り出す機能が異常を起こしている状態です。

 それが、①気(エネルギー)の不足なのか、②気や血の渋滞なのか、③冷えなのか、④便の潤い不足なのかを判断します。

 ①の気の不足では、腸が収縮する力が弱いせいで便を出せません。便は、数日便秘をしても、出る時はコロコロ便ではないことが多いです。

 ②の気の渋滞では、腸が緊張しているせいで便を出せません。便は細く、残便感があることが多いです。

 ②の血の滞りでは、腸の血流異常のために機能異常となり、便が出てきません。便が黒いこともありますが、実際はあまりなく、全身症状から判断します。

 ③の冷えの場合、腸が冷えて動かないため、便が出てきません。冬より夏の方が症状が楽なこともありますが、夏もクーラーのせいで体が冷えて、ほぼ一年中便秘のこともあります。

 ④の便の潤い不足では、”滑り”が悪いせいで、便が出てきません。コロコロ便となることが多いです。この場合は、さらに、腸だけの潤い不足なのか、全身の潤い不足なのか、体の熱のせいで機能が亢進し汗尿などで水分が減少して腸の潤いが不足しているのか、などを考えます。

 ただし、原因は1つとは限らず、複数の原因が混ざっていることもあります。

治療について

 ①の気の不足の場合、腸の力を上げるため、人参や黄耆などを中心にして薬を選びます。根本治療を目指すには、腹筋をつけるのが一番です。少しずつでも腹部を中心に全身の筋肉をつけて行きましょう。

 ②の気の渋滞の場合、腸の緊張を解くため、芍薬、枳実、厚朴などを中心にして薬を選びます。腸の気を巡らせるために、ウォーキングなどの全身運動を取り入れ、うまくストレスを発散させてください。

 ②の血の渋滞の場合、全身症状から薬を選びます。この場合も、全身運動が重要です。

 ③の冷えの場合、腸を温めるために、蒸し生姜などを中心に薬を選びます。生活の上では、お腹や脚を冷やさないように、腹巻きをしたり、タイツやレギンスで脚を冷やさないようにしてください。

 ④の潤い不足の場合、様々な生薬を体質に合わせて使い分けます。当帰、地黄、桃仁、杏仁、麻子仁、何首烏などに、石膏を合わせることもあります。オリーブ油などの体によい油を食事に取り入れることで、出やすくなることもあります。

 どの場合でも大黄や芒硝を使うことがありますが、気や血の不足、冷えの場合、慎重につかいます。大黄は気や血を消耗し、体を冷やす薬なので、配合比を考えて使います。

 加えて、薬を服用しながら、生活の中でトイレに座る時間をつくり、排便習慣を付けることが重要です。

 長年の便秘を解消して、お腹をスッキリさせたい方は、ご相談ください。