産後には、うつやイライラなど心の不調、寝つきの悪さや脱毛、尿漏れなどが一般的に起こりやすいとされています。
漢方的には、産後には以下のような特徴があり、症状として、何が出てきてもおかしくありません。その方の弱い部分に症状が出てきやすいのだと思います。出産を機に出てきた症状は、産後の体の特徴を踏まえて、治療方針を考えていきます。
考え方について
出産は、10か月かけて自分とは別の命を育むイベントです。
つまり、子に気・血・精を分け与えないといけないため、母体に余裕がないとできない、母体に多少の負担をかけて初めてできることです。
そのため、出産後は気・血・精が減少し、正気(体の本来持っているものや力)の不足による様々な症状が起こることがあります。
さらには、産後に悪露がしっかり出てこないと、瘀血(血の渋滞)を残すことができます(これは、昔の人がそのように想定しただけで、現代医学で本当に出ていない何かがあるのかはわかりません。ただ、そのように想定して治療を考えた結果、うまくいったために残った考え方です)。
ここから、産後には、正気の不足や、血の渋滞を中心にして薬を考えます。それに加えて、その方の体質を考え、薬を組み合わせていきます。
薬について
正気の不足に対して、何を使うかというと、1つには決められません。
どこまで不足の度合いが強いか、体は冷えているのか熱を帯びているのか、体が乾燥しているのか水が溜まっているのかによって、何を使うかが大きく異なります。
さらには、その方が気が渋滞しやすい体質、気が不足して血や水が動きにくい体質、陰が不足している体質などを見きわめて、お薬を選んでいきます。
血の渋滞に対するお薬も同様です。血が不足している方に強力に血を巡らせる薬を渡すと、かえって不調になります。血を補充しながら巡らせるのか、冷えているなら温めながら巡らせるのかなどを考えていきます。
治療について
本来なら、出産した日から、気血を補う薬と、穏やかに血を巡らせる薬を服用するのが一番よいです。出産は、実は、体質を変えるよい機会でもあり、子を産むと同時に、瘀血も体から排出することができます。
ただ、「出産したらこれを2週間飲んでください」と言っても、漢方薬局の店主だったり、漢方が大好きで信頼しきっている方でないと、おそらく飲みません。
なので、不調を感じた時で構いませんので、何かあれば、早めにご相談ください。はやめに対処することで、治りやすいことが多いです。
また、特に初めての出産後は、慣れていないことばかりで、不安だらけなので、周りの方の協力が必要です。心と体は繋がっているので、お薬を飲むのと同時に、家庭や職場の協力を得て、肉体的・精神的な負担を減らすことが重要です。心身への負担が減ることで、必ずお薬も効きやすくなります。
心に対するお薬は割と早く、7日前後で効果が実感できることが多いです。一方、体に対するお薬は、14日単位で効果をみていきます。正気の不足が強い場合は、2~3週間単位で改善していくこともあります。
産後に出てきた不調に対して、漢方では治療方針を立てることができます。
漢方薬を服用してみたい場合は、一度ご相談ください。
